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「城下町やつしろのお雛祭り」がはじまります!

カテゴリ:歴史と文化の散歩道 更新日:2019年2月2日  更新者:八代市学芸員

松井文庫のお雛様 松井文庫のお雛様

 2019年の「城下町やつしろのお雛祭り」が2月9日から始まります。
 この写真は、昨年末、ポスターに使う写真撮影のお手伝いをしているところ。メイン会場となる松浜軒に飾られるお雛さまで、天保9年(1838)、松井家10代目章之に嫁いできた琴姫所用のお雛さまです。

 思えば、このお雛さまとはじめて出会ったのは1992年の春だったか。2000年から市博物館で、松井文庫所蔵の雛人形雛道具の悉皆調査に着手。これらの由来が明らかになったことで展示を一新。2003年、松浜軒と博物館と商店街をつなぐ第1回城下町やつしろのお雛祭りが始まりました。以来、このイベントに関わってきました。
 
 「あなたも年取ったわね~」とお雛さまも思ってることでしょう。
 嬉しいことに、今年の展示の一部を、私が調査を始めた年頃の学芸員が受け持ち、雛祭りにふさわしい吉祥文様の器をならべてステキな展示空間を作ってくれました。1839年に京都から来たこのお雛さまは180歳。大切なお雛さまを、わたしたちも世代交代しながら確実に受け継いでいきたいと思います。

刀剣ブームと八代~「歌仙兼定(かせんかねさだ)」を知っていますか?~

カテゴリ:歴史と文化の散歩道 更新日:2018年9月10日  更新者:八代市学芸員

「細川三斎と八代~肥後拵の魅力分析~」展示風景 「細川三斎と八代~肥後拵の魅力分析~」展示風景

歌仙兼定(かせんかねさだ)を知っていますか?

 今、空前の刀剣ブームが起こっているのをご存じでしょうか。「刀剣乱舞(とうけんらんぶ)」というアニメゲームが火付け役となり、ゲームに登場する刀剣の展示が各地で開催されています。展示を見に駆けつけるだけでなく、お気に入りの刀剣ゆかりの地を「聖地」として訪ねる熱いファンの方もおられるもよう。
 なんと、この八代も「聖地」の一つになっているのをご存じでしょうか。

 八代ゆかりの刀剣は、八代で晩年を過ごした細川三斎が愛用した、関の刀工兼定(かねさだ)作の刀剣。「歌仙兼定」という名称で知られています。「歌仙」という名前がついたのは、三斎が八代城在城の折、意に添わない家臣6名(36名とも)をこの刀で成敗したという言い伝えから、六歌仙(三十六歌仙)にちなんでその名があるといわれています。真偽のほどはともかく(たぶんそういう事実はなかった、ハズですが)、言い伝えの舞台となった(であろう)八代城は、歌仙兼定ファンの間で聖地となっているのです。

 じつは、この「歌仙兼定」(東京・永青文庫所蔵)が、今、熊本県立美術館で開催されている「細川ガラシャ」展に展示されています(9月24日まで)。
 ガラシャの夫が細川三斎なのです。

 すぐれた武将であり、茶の湯をはじめ、和歌・能楽・絵画に通じた文化人だった三斎は、武具や刀装具のデザインにもこだわりを見せ、とくに、兼定作の刀剣をおさめた刀装は「歌仙拵(かせんごしらえ)」と呼ばれ、細川家の御家流として尊重されました。

 三斎が好んだスタイルを手本とする拵は「肥後拵(ひごこしらえ)」と呼ばれ、武具としての実用性が高く、一見地味に見えますが、じつは凝った細工がほどこされた贅沢なもので、風格があり、「しぶカッコいい」のが特徴です。

刀剣ブームと「歌仙兼定」の展示に合わせ、博物館では、館蔵の肥後拵7口を展示し、三斎とゆかりの深い肥後拵の魅力を紹介しています。この展示(「細川三斎と八代~肥後拵の魅力分析~」)は9月24日(月・祝)までです。

「細川三斎と八代~肥後拵の魅力分析~」ポスター 「細川三斎と八代~肥後拵の魅力分析~」ポスター
細川三斎公の肖像画(博物館所蔵)と記念撮影ができます。 細川三斎公の肖像画(博物館所蔵)と記念撮影ができます。
熊本県立美術館に設置されている「歌仙兼定」のパネル 熊本県立美術館に設置されている「歌仙兼定」のパネル

 うれしいことに、熊本県立美術館の「細川ガラシャ展」を見に来た方の多くが、当館にもお寄りいただいているようです! 県立美術館では、「歌仙兼定」パネルと写真が撮れるコーナーが設けてありますが、当館では、「細川三斎公」パネルと写真が撮れるコーナーを設けており、これがなかなか好評なのです。

 なにより、肥後拵の「しぶかっこよさ」に心から興味・関心を深めていただいていることがうれしいです。

 三斎とともに八代にやって来た金工職人たちが、肥後拵の金具制作に携わったことで、肥後金工が発展し、日本の金工史に残る名品を数多く生み出したこと、現在の「肥後象眼」につながっていることを、多くの方に知っていただきたいです。




博物館1階常設展示室金工コーナー

「細川三斎と八代―肥後拵の魅力分析―」 6月26日(火)~9月24日(月)

 

妙見祭の笠鉾9基が勢ぞろい

カテゴリ:歴史と文化の散歩道 更新日:2017年11月20日  更新者:八代市学芸員

本町アーケードに笠鉾が勢ぞろい 本町アーケードに笠鉾が勢ぞろい

◆9基そろった笠鉾を見ることができる幸せ
今年も、この幸せな季節がやってきました。
本町アーケードに勢ぞろいした笠鉾9基の姿を、また見ることができました。

昨年12月1日の未明、このアーケードで多くの人が、ユネスコ政府間委員会が開かれているエチオピアからの中継音声を聞きながら、妙見祭を含む「山・鉾・屋台行事」のユネスコ登録の瞬間を待ちました。

この本町アーケードこそ、笠鉾を生み出した江戸時代の八代城下町の中心的存在であり、古くは古麓城下町にさかのぼる歴史ある地域です。本町を中心に広がっていた城下町の人々がそれぞれ贅を尽くして、妙見宮の神様に捧げた美しい笠鉾が、壊れやすく繊細な飾りで覆われているのにもかかわらず、一つも欠けることなく今に受け継がれていること。そして、熊本地震という大きな試練の年に、ユネスコ登録という形で私たちを励ましてくれたこと。それらのことを考えると、この笠鉾の大切さがますます重みを増して感じられます。

250年近く受け継がれてきたこれらの笠鉾に、これまでどれだけの人が関わってきたのでしょう。人々が笠鉾に込めた願いとは、たぶん「ふるさとがいつまでも繁栄しますように」ということ。

今年も、その願いを受け継ぐ人々がいろんな活動をしています。市民の手で、笠鉾や妙見祭をガイドしようという活動も軌道にのってきました。

多くの方に、笠鉾をじっくりごらんいただき、八代にこれらがある幸せを全身で感じていただきたいと願っています。

・笠鉾展示    2017年11月12日~22日 
・ガイド活動時間 上記期間の9時~17時 
・ガイド待機場所 ギャラリー衆 
・ガイド料    無料
・協力      やつしろ観光ガイド協会

八代から世界へ発信! 肥後鐔の魅力

カテゴリ:歴史と文化の散歩道 更新日:2017年10月26日  更新者:八代市学芸員

林又七作 三階松透鐔 林又七作 三階松透鐔

八代市立博物館が収集に力を入れている八代ゆかりの工芸品の一つに肥後鐔(ひごつば)があります。
といっても、八代ではほとんどの方がそれをご存じありません。
しかし、最近、流行っている刀剣乱舞というゲームの影響で、人気の「歌仙兼定」というキャラクターが八代ゆかりということで、八代を訪ねてくる方が増えてきました。刀剣に興味があるということは、鐔などの刀装具にも興味をお持ちで、八代の博物館で肥後鐔を常設展示しているという情報が、ひそかに浸透してきているようです。

ありがたいことです。

と思っていたら、今度は、NPO法人日本伝統文化振興機構さまが、肥後鐔を紹介する英語のページができあがりました!と連絡してきてくださいました。なんとそこには、
「Higo-Tsuba is a world-class work of art from Yatsushiro-town and Kumamoto prefecture.」(肥後鐔は、熊本県と八代の街から発せられる世界クラスのアート作品です。)と書かれていました。
http://www.jtco.or.jp/en/kougeihinkan/?act=detail&id=296

How wonderful❗️ です。

博物館では、常設展示やホームページにて、館蔵の肥後鐔の情報充実に努めています。ぜひごらんいただき、世界を魅了する肥後鐔の魅力に触れてみてください。
http://www.city.yatsushiro.kumamoto.jp/museum/event/per_ex1/04.html

 

八代の宝物が一堂に 博物館の夏季特別展覧会

カテゴリ:歴史と文化の散歩道 更新日:2017年8月21日  更新者:八代市立博物館

鐔 林又七作 三階松透 鐔 林又七作 三階松透

探してみよう!やつしろの宝もの  

 市博物館では、ただいま、夏季特別展覧会として「探してみよう!やつしろの宝もの~指定文化財大集合~」展を開催しています。普段なかなか見ることのできない指定文化財50件を一堂に展示しています。
 

 八代にこんなにたくさんの宝物があったとは驚いた!
 見応えがあった。2,3時間では足りない。
 見たことのないものがたくさんあって楽しかった。


そういった感想をアンケートに書いていただいています。さぁどんな宝ものが展示されているかというと・・・。

○歴史上の有名人ゆかりの品!
 千利休が亡くなる2週間前に書いた手紙(天正19年・1591) 
 宮本武蔵自筆の手紙(全国に2通しか確認されていないうちの1通)
 宮本武蔵が自作したと伝えられる木刀
 豊臣秀吉が松井康之に贈った茶壺
 徳川家康が松井康之に贈った水指
 春日局が松井興長に送った手紙
 古田織部が松井康之に送った手紙
 
○空前の刀剣ブーム 八代にある名刀を見逃すな!
 国指定重要文化財 刀 無銘 伝雲生 鎌倉時代
 重要美術品 刀 折返銘 正恒 平安時代
 重要美術品 刀 無銘 伝青江 南北朝時代

○八代人なら見ておきたい!
 前回の大地震時、八代城を再建した加藤正方の肖像画
 妙見宮に伝えられる神宝 細川三斎も実見した 四寅剣
 懐良親王御遺品(八代初公開)
 幻の工芸品 八代染革
               などなどなど

これを見なかったことを、きっと後悔する展覧会です。ぜひお見逃しなく!

*****

夏季特別展覧会「探してみよう!やつしろの宝ものー指定文化財大集合ー」

2017年7月14日(金)~8月27日(日) 
開館時間:9時から17時(ただし入館は16時30分まで)
入館料:小中学生は無料 大人400円 高大生300円

夏季特別展覧会ページ http://www.city.yatsushiro.kumamoto.jp/museum/event/2017/2017_sum.html

展示作品紹介 鐔 林又七作 三階松透 つば はやしまたしちさく さんがいまつすかし
 1枚 鉄地 縦7.7cm 幅7.6cm 江戸時代前期(17世紀)
 八代市立博物館蔵 熊本県指定重要文化財 昭和38年7月23日指定

 わずか8センチ足らずの鉄の板に、どうしてこんなに心うばわれるのでしょうか。
 鐔とは、刀の柄と鞘の間に挟み、相手の刃から自分の手を守るための実用的な金具です。そのため、簡単には割れない強靭さが必要です。
 この鐔は、よく鍛えた鉄地を大胆に透かし彫りにし、松の樹を配しています。ぷっくりとした枝ぶり、のびやかに彫られた線、縁取りの鉄部分の細いこと、丸の中の絶妙な配置…。
 本展を見学した10歳の男の子が、一番印象に残った作品としてこの鐔をあげてくれました。「どうしてかというと、ぼくのすきな丸い中に森がかいてあっていんしょうにのこったからです。」  確かに、この鐔は鉄地部分は少ないのに、森のような豊かさがあります。10歳の子供の目にも、魅力ある形として映ったこの鐔の技量に改めて感心しています。この鐔の作者とされる林又七(はやしまたしち、1613~1699)は、肥後金工を代表する名工で、本作品は『肥後金工大鑑』にも収録され、古くから又七の優品として知られています。ぜひ、会場で実物をごらんんください。

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